【相続対策】遺産分割7

換価分割

続財産の中に相続人の全員が取得を希望しない資産があったり、あるいは代償分割を行おうとしても代償金の支払能力がない、といったケースでは、遺産分割の形態として換価分割が採用されることがあります。

換価分割とは、遺産分割の際、遺産を売却等により換価した後に、その代金を共同相続人間で分配する遺産分割をいいます。

換価分割の手続き

土地などの不動産を換価分割の対象とする場合には、いったん相続登記を行わなければ処分することはできません。

相続人間で換価分割の合意があるときは、遺産分割協議書に、対象となる資産を特定し、分配割合、最低売却金額、売却期限等を記載して、登記申請を行うことになります。協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停又は審判により分割がなされます(民法907条)。

換価分割と税務

1 相続税
相続税の課税は、相続財産の相続開始時の評価額の分配割合に応じた価額が相続人の課税価格に算入されますので、換価分割により取得した売却価額と相続税は無関係です。

2 所得税
換価分割を行う場合、各相続人が換価分割の対象となる資産を一度相続した上で、他の相続人と共に第三者に売却したことになるため、相続税だけでなく、譲渡所得税が発生することになります。なお、換価分割のための譲渡が相続税の申告期限後3年を経過する日までの間に行われた場合には譲渡所得の計算上、相続税額相当額を取得費として算入することができます。

まとめ

換価分割は、換価するため合意した相続分で正確に分割でき、トラブルになりにくいですが、不動産の譲渡所得税等の換価コストが発生したり、時間がかかることがありますし、買い手が見つからない場合、分割することができないという面もあります。

(参考文献)
・小池正明『民法・税法による遺産分割の手続きと相続税実務』101頁以下
(税務研究会出版局、第7版、2015年)
・大西隆司ほか相続対策実務研究会編集『法務・税務から見た相続対策の効果とリスク 』
961頁以下(新日本法規、2015年)

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