7日以内
身内が亡くなると、通夜や葬儀の手配に追われ、ゆっくりと故人を偲ぶ時間もとれず、少しの間一段落したとしても、すぐに相続手続きに取り掛かることになってしまうでしょう。
相続とは、被相続人の死亡により相続人がその財産を受け継ぐことで、法律上の手続きには期限が定められているからです。
手続きといっても、様々な手続きがあります。健康保険の資格喪失届、年金受給権者死亡届など死亡に伴う「基本手続」、クレジットカード、老人会などの「やめる手続」、生命保険、遺族年金などの「もらう手続」、預貯金などの名義変更など「引き継ぐ手続」、相続人の確定、遺産の調査、相続税の申告などの「法律上の手続」があります。
ここでは、「法律上の手続」を中心にご案内します。
「法律上の手続」
まず、最初にやってくるのは、死亡届の提出です。被相続人となる者が亡くなったときは、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡者の本籍地または届出人の所在地もしくは死亡地の市区町村に死亡届を提出しなければなりません。
死亡届には、所定の事項を記載し死亡診断書または死体検案書を添付しなければなりません。
届出者は、
①同居の親族
②その他の同居者
③家主、地主または家屋もしくは土地の管理人となります。
なお、同居の親族以外の親族等も届け出ることができます。
3ヶ月以内
遺言書の有無と相続人の確認、相続財産の調査を行いながら、自筆の遺言書があれば、家庭裁判所で検認を受けます。
被相続人の財産の調査をすすめるうちに。プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合、相続をしたくないと思う場合もあるでしょう。
そんな場合は、相続の放棄を選択することができます。
相続放棄や限定承認を行う場合には、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをします。
4ヶ月以内
被相続人が事業者であったり、不動産所得がある場合には、4ヶ月以内に準確定申告をする必要があります。
10ヶ月以内
次に被相続人の遺産の分割になります。遺言書があれば、その内容を尊重して分割します。相続財産の評価については、税理士等専門家に相談していくことになるでしょう。
そのうえで遺産分割協議を行い、合意した内容を遺産分割協議書に書いて残します。相続税の申告が必要であれば、相続税を計算して、被相続人が亡くなってから、10ヶ月以内に相続税の申告と納付を行います。この10ヶ月は思ったよりも短く感じられるでしょう。
相続税の申告・納付以外にも遺産分割協議書に基づいて、預貯金の名義変更、不動産の移転登記などを行います。
東京税理士会武蔵野支部所属
日本税務会計学会委員会(法律部門)
『顧問先等の経営危機対応マニュアル』(共著)(新日本法規出版、2022年)
『通知・判例から見る実務ー売買・賃貸借・相続・贈与等ー』(共著)(新日本法規出版、2021年)