【相続対策】贈与による対策 その5

死因贈与契約の活用

民法554条は「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」とあります。

遺贈との共通点は
①贈与の一種である
②相続人以外に財産を譲ることができる
③贈与者の死亡で効力が生じる
④贈与税ではなく相続税が課される

以上4点が挙げられます。

違う点は、死因贈与は、お互いの合意の下に成立する贈与契約であるのに対し、遺贈は、贈与者の一方的な意思表示によって受遺者に財産を与える単独行為です。

例えば、「私が死んだら土地をあげる」というような、贈与者の死亡によって効力を生じる生前の贈与契約です。死因贈与契約は、贈与者の生存中に締結する契約であるため、事前に紛争リスクの低減が可能となったり、受贈者が柔軟に対応できるなどのメリットがあります。

死因贈与契約の効果

1 受遺者が何をもらえるか予め知ることができ、死因贈与執行者を定めておくこともできるため、相続争いの防止に役立つ

2 遺言のような検認手続きが不要であり、方式違背による無効のリスクが少ない

3 生前に仮登記ができる

 などの効果があります。

相続税、登録免許税、不動産取得税がかかる

1 相続税
死因贈与は遺贈と同様に扱われ、贈与税ではなく相続税の対象となります。そのため、死因贈与により財産を取得した者が被相続人に一親等の血族及び配偶者以外の者である場合には、その者にかかる相続税額はその税額の2割に相当する金額を加算した金額となります(相続税法18条)

2 登録免許税
ア 相続人が死因贈与により取得した場合
固定資産税評価額×20/1000
イ 相続人が遺贈により取得した場合
固定資産税評価額×4/1000

3 不動産取得税
相続人が死因贈与により不動産を取得した場合には不動産取得税が課されますが、遺贈により取得した場合には不動産取得税は非課税となります。

まとめ

死因贈与はもらう人ともらう財産が決まればすぐに契約を結ぶことができますので遺言より取組みやすい対策ですが、不動産取得税がかかり、登録免許税も高額になります。

なお、死因贈与契約が書面によらない場合、各当事者は撤回できます(民法550条)ので注意が必要です。

(参考文献)
・大西隆司ほか相続対策実務研究会編集『法務・税務から見た相続対策の効果とリスク』210頁以下(新日本法規、2015年)
・久野綾子『相続貧乏になりたくなければ親子でこまめに贈与しましょう』頁以下(アチーブメント出版、2014年)

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