【相続税】名義財産に気を付けよう
名義財産とは?
相続人名義の預金や有価証券等の金融商品が相続財産を構成するか否か、いわゆる名義預金・名義株等は、相続税の調査の際に最も問題になる内容です。
典型的な例として、
「相続対策として父は二人の子の名義で通帳を作り、暦年贈与の基礎控除を利用しそれぞれの口座に110万円預け入れます。これを毎年続け、20年後に父がなくなり、相続が開始します。二人の子はそのような預金の存在を知らず、税務署からは4400万円の預金をまるまる相続財産といわれてしまいました。」
父親は子供のために、よかれと思って、子供に贈与していたつもりが、父親自身の財産とされてしまったのです。
それでは、名義財産か贈与財産かはどのように判断するのでようか?
その多くの場合はその預貯金等の原資・管理・運用の状況から過去に贈与さたものか否か、名義のみ借りた相続財産か否を検討します。
名義財産(相続財産)か贈与財産かの判断
(1)被相続人以外の名義の財産でも、当該財産が相続開始時において被相続人に帰属するものであったと認められるものであれば、当該財産は、相続税の課税対象となります。
(2)名義財産となる(相続財産に取り込まれる)かどうかは、その原資の出資者はだれか、取引や口座開設の意思決定やその手続をだれが行っているか、その管理又は運用による利得を収受していたのがだれか、といった点が重要となります。
(3)名義財産ではなく、過去に贈与を受けたものであると判断する場合は、いつの時点でどのように贈与が行われたかが明らかか否かも大きなポイントです。
名義財産とみなされないためには?
贈与契約書を作成し、年間の贈与が110万円を超える場合には、贈与税の申告を毎年しておきましょう。
まとめ
名義財産と認定されるか否かは、その財産の原資、管理、運用、財産からの利得の収受といった点がポイントとなりますが、一般的には原資は被相続人といったケースが多いと思われます。言い換えれば、原資が被相続人以外の者(例えば相続人)であれば、その管理運用等は被相続人以外の者が行っている
ケースがほとんどと考えられ、あまり問題にはなりません。
原資が被相続人の場合、いつの時点で管理、運用、利得の収受が被相続人以外の者に移行したのかが重要であり、相続開始まで移行していなければ被相続人の相続財産となり、移行していればその時点で被相続人から被相続人以外の者に贈与されたこととなります。
そして、その移行の事実の有無を確認する上で、登録印の名義、預金通帳等の保管、預金等の入出金や書き換え等の手続き、金融機関等からの通知の送付先、配当金の受領状況等が重要となります。
また、非上場株式等についても出資(設立時、増資時)した際の原資についても問題になりやすい(特に株価が高い場合)ため注意が必要です。
(参考文献)
・渡邉正則『調査時に問題となる名義財産等のポイント整理(判決・裁決を中心に)』
11頁(日税不動産情報センター、2014年)
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